「歩きたいワン!」

愛犬チャコ

歩けなくなる

16歳の秋。

転んでしまうと、自力でたてなくなってしまった。

我が家の床は、すべてフローリング。
チャコが滑らないようにと、すべり止めカーペットを敷き詰めていたが、それでも滑るようになってしまった。

肉球の皮膚の乾燥や筋力も低下してきているのだろう。
犬も人間も同じように、年齢を重ねると色々と身体に支障を伴う。


若いころのチャコの肉球はしっとりとしていたが、このころはかなり乾燥気味で保湿クリームを塗ったりしていたが、それもあまり効果がなく、やっぱり滑ってしまう。


滑り止めの靴下を履かせてみても、おそ松くんに出てくるイヤミの靴下みたいになってしまう。
すぐに、ズルズル。

どうすれば、いいのか……

ホームセンターへ行き、滑り止めを探していたら、良い物が見つかった。

絨毯等の敷物が滑らないように、敷物の下に敷く、ゴム製の敷物だ。
大きいサイズを購入して、敷いてみたところ、チャコが滑らずに歩ける。
何枚も購入して、家中を敷き詰めた。

しかし、その甲斐もなく…

しばらくして、歩けなくなってしまった。

夜鳴き

その頃から夜鳴きが多く、なんとも切ない声で
ワォーーーーーーン!」と遠吠えに近い鳴き声を出していた。

急に興奮状態になり、足をバタバタさせ、はぁはぁしながら夜鳴きが始まる。
夜鳴きスイッチが入るサインは不明。

夜鳴きだけで、収まる夜はまだ良いのだが、興奮がエスカレートしてしまうと大量に吐いてしまう。
せっかく食べた物を吐いてしまったら栄養にならないし、脱水や体力低下も心配だった。
とても苦しそうなのに、何もしてあげられないのが辛い。

そして、主人も私も寝不足の日々。
共倒れになってはいけない。

病院を受診して、担当の先生に相談したところ、精神安定剤を処方してくださり、興奮が始まりそうな気配がしたら、すぐに飲ませてあげてくださいとのこと。

気配…  んんん…  わかるかな…

「今夜は薬どうしよう。飲ませてみようか。」が就寝前の夫婦のルーチン会議。
なるべく薬には頼りたくないが、チャコを吐かせたくない。

憶測だが、歩けなくなったことに納得できずにいるのかな。
「立ちたい! 歩きたい! 動きたい! ワォーーン!」と言っているような気がした。

  
  歩きたいワォーン♪

歩くよ!

以前より、使用していた歩行補助具を使って、歩行練習の時間を増やしてみることにした。

チャコが納得するまで歩かせる。
殆ど支えての歩行だが、一生懸命足を動かし、頑張る姿には、その都度尊敬と涙。
練習中、次第に首を持ち上げられなくなり、四肢が止まるのを終了の目安とした。

横になっていて、四肢をバタバタさせるときは、「歩きたい」のサインなのかも知れない。

そのような時は、納得するまで歩かせた。
布団に戻すと、秒殺で寝てしまう。
体力の限界まで頑張るようだった。

気が付くと夜鳴きがおさまっていた。
結局、処方された薬は、出番なし。

歩きたかったんだね…
すぐに、気が付けなくてごめんね。

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