前庭疾患の発症
チャコが14歳を迎えようとしていた、ある朝のこと。
「チャコが、なんだかおかしいよ。」
自分の尻尾を追うようにくるくる回っている。ビックリして抱き上げ顔を見ると
眼球まで振れて、呼吸も速く、とても辛そうな表情をしていた。
慌てて病院を受診したところ、前庭疾患と診断された。
シニア犬に多い疾患で、耳の三半規管や前庭が正常に働かず、平衡感覚が保てなくなるらしい。
チャコの場合、原因は不明とのこと。
眼が見えないチャコにとって、音は大事な情報なのに…耳の機能は大切なのに…
仔犬のときから、自動車に乗せるとすぐに酔ってしまったのは、三半規管が弱かったからなのか。
前庭疾患は、殆どのケースは数週間で治るらしいが、場合によっては症状が残ってしまうこともあるそうだ。
どうか、治りますように…
治療法は、ステロイドの内服のみで、飲み始めてから徐々に薬の量を減らしていく。
ステロイドの副反応として、すごく喉が渇くので多量に水分を欲しがると言われたが、本当にいつもの3倍以上は飲んだと思う。そして、尿量も同様に多かった。
くるくる回って、ふらふらしてしまうため、散歩へも行けず、見守ることしか出来なかった。
どうか、治りますように。
笑顔も消えた…
1ヶ月が経過した頃より、症状はかなり緩和された。
気持ちが落ち着いているときは、傾きながらぐるぐる回らずにいられる。
しかし、動作はスローで方向感覚は戻っていないようだった。
苦しそうな表情や眼振もなくなったが…
笑顔も消えた…
声掛けにも反応しない。聞こえていないのか…表情も乏しくなってしまった。
これって、後遺症なの?
散歩に連れ出しても、まっすぐは歩けず、ビックリしたり興奮するとぐるぐる回って歩き始める。
回りだしてしまうと、じきに眼球の振れも始まるため、そうならないうちに抱いて家まで連れて帰る。
もう、お散歩も楽しくないかな…
お風呂が苦手で、決して自らお風呂場へは来なかった子が、フラフラと入って来るようになったり、ウッドデッキでの日向ぼっこが大好きだったのに、目を離すとウッドデッキから落ちてしまう。
眼が見えなくても、落ちることなどなかったのに。
病院の先生に相談したところ、病気をきっかけに、痴呆を発症してしまったのではないかと。
しばらく落ち込んだが……
失くしたことばかり考えたって仕方ないじゃん!チャコはチャコ!
目の前にいてくれる。それだけで本当にありがたい。
チャコだって、上手く表現できないだけで、心では理解できているはず。
そして、
こころの笑顔は
消えてないよね♪
なおさら愛しさが増した。
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